「許すこと」についてのテーマは、心理学の本ならず、いろんな記事でも見かけます。
この「許し」とは奥が深いテーマであり、「許し」=「素晴らしいもの」と決めつけてしまうと、より自分を苦しめる結果に繋がることがあります。
「許し」と「抑圧」は違う
同じ行動でも、その行動に向かう理由が違っていれば、心も反応も変わってきます。
例えば、親に叱られて嫌々部屋の掃除をするのと、自分から進んで気分転換に部屋を掃除するのでは、大分気分は違ってくるはずです。
これは「許し」にも同じことが言えます。
「許さなければいけない!」
「許さない私が悪い」
「許さないと居場所がなくなる!」
そんな窮屈な理由から、相手や過去の出来事を許そうとしても、心はスッキリしません。
それは「許し」ではなくて、「抑圧」です。
抑え込んだ感情はいつしか心を蝕んでいきます。
「許しは自分の為に」と言われる理由
冒頭にように「許す」=「素晴らしいこと」だと思っていると、心を解放するための「許し」ではなくて、心を抑圧することになってしまいます。
カウンセリングでも「相手を許せない時は許せないままでいいですよ」と伝えることがあります。
許せない状態も、心の整理のためにはちゃんと必要なんですよね。
許せない状態は、すごく気分が悪いです。イライラもしてくるし、傷付けられたことを悔しくもなる。怒っている自分に自己嫌悪することもある。
とても心地いい状態とは言えません。
仕事に集中していて忘れた頃に、ふと思い出すこともありますよね。
またテレビのワンシーンや、誰かの何気ない言葉がきっかけになることもあるでしょう。
「許し」とは相手の為ではなくて、自分のためにある。
そう言われるのは、許していない状態が自分にとってネガティヴな感情や反応を持ち続けてしまうからです。
だからこそ大切なのは、無理に許すことではなく、自分の感情を丁寧に扱うことなのです。
許せない自分を責めない
「許す!」と決めて、その後にキレイにさっぱりと忘れられたらいいですよね。
でも、心はすぐに割り切れないことがあります。
割きれなくていいんですよ。割り切れないからって、あなたがダメだからじゃない。
許したくても許せない。
忘れたくても忘れられない。
前に進みたいのに、何度も同じ場所に戻ってしまう。
そんなことは誰にでもあります。
そんな葛藤を抱える時間が心を整理するために大切なこともあります。
心が割り切れないのは、あなたが弱いからでも未熟だからでもありません。
許せない自分を責めなくていいですからね。
「私はまだ傷付いているんだな」と認めてあげることから始めればいいのです。
恐れからの「許し」は心を縛っていく
また、自分をさらに傷付ける為に許しを選択しなくていいですからね。
例えば、「相手は本当は可哀想な人だから」と、あなたを傷付け続ける人を受け入れる事があります。
本当にそれは「許し」なのでしょうか?
もしかしたら、「相手を許すことでしか自分の居場所は守れない!」と、恐れから相手を許しているかもしれません。
それでは心は解放されずに、恐れに縛られてしまいます。
本当の許しは、自分を犠牲にすることではありません。
傷付いた自分の気持ちを認めながら、少しずつ心の重荷を下ろしていくことです。
必要なら距離を取り、自分を守ることも含まれますからね。
許しとは、相手のためのものではなく、自分自身を自由にするためのものなのです。
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