「私、本当はずっと前から彼を好きじゃなかったんだと思います」
カウンセリングでこんな言葉に出会うことがあります。
「もう好きじゃない」
自分の中にあるその想いを受け入れるのに時間がかかることがあります。
目次
気持ちを少しずつ整理している
仕事を辞める時にも同じようなことがありまして「もう今の仕事が自分に合ってない」とその思いが出てきてもすぐに受け入れられなくて、半年や1年という時間が経てようやくその仕事を離れることがあります。
物理的な仕事の引き継ぎや整理をしながら、心の整理を少しずつしているのです。
恋愛でも「もうこの恋愛は終わりにしたい」と思っていても、その気持ちを素直になるまで、時間がかかります。
少しずつ自分の気持ちを整理して、本当の気持ちに気づいて、納得していきます。
その間に相手への怒りが爆発的に出てくることもあるし、反対に相手への想いが急に強くなることもあります。
心の5段階の変化
キューブラー・ロスという精神科医が、死を受け入れていくまでの心の変化を5段階に分けました。
「本当は、もう彼のことを好きじゃない」
それを受け入れていく心の変化も似たステップを経ていくことがあります。
キューブラー・ロスの説になぞらえて、恋愛のステップを僕なりに説明してみますね。
自分の気持ちを否定する(否認と孤立)
自分の中に湧き上がった「もう、好きじゃない」の気持ちを真正面から否定します。
彼(彼女)から離れようとするのではなくて、むしろ近づこうします。
でも、深層心理では相手を好きじゃないから、頑張れば頑張るほど無気力になるというか、エネルギーが循環しないので疲れていきます。
パートナーともエネルギーが循環しないし、周りの友達にも応援されている感じがしない。
恋愛がうまくいっている人を自分と比べては落ち込みます。
自分の人生がうまく歯車に噛み合っていなくて孤独を感じます。
ここでは良い子なって、頑張ることがあります。
自分の気持ちを隠して、相手の為に尽くそうとします。
現状に対して怒りが出てくる(怒り)
どうして、この恋愛がこのような状態になったのか?
相手や過去、自分の家族など、様々なことに対して怒りが出てきます。
もちろん、その怒りは自分に対しても、自己否定という形で出てきます。
「どこで道を間違えたのか?」
「今度こそ、最後の恋と思っていたのに」
「やっぱり理想通りにはうまくいかない?」
と後悔と怒りと悲しみで心の中はごちゃごちゃです。
好きな人と一緒にいても楽しくない。
嫌なところばかり見てしまう。
ドキドキやワクワクを感じられないので、心が潤いません。
*この怒りのエネルギーはネガティヴなものだけではなくて、次の恋愛に進むパワーにもなってくれます。でも、その使い方が分からないので、周囲の人に怒りをぶつけてしまいます。
相談に乗ってくれる友達(家族)と喧嘩するなど、エネルギーの使い方がわからないので、後悔してしまうことも。
状況を打開しようとする(取引)
自分の中に湧いてくる「もう、本当は好きじゃない」という気持ちを少しは受け入れたけど、その気持ちをなんとかしようと試行錯誤する段階です。
また、相手に対する恋の炎がメラメラを燃え上がらないか?
相手と新しい形でやり直すことが出来ないのか?
など。
また、「他の人と恋愛した方がうまくいくかもしれない?でも出会いはあるかな?」など、少しは別の恋愛も考えるようになります。
相反する二つの気持ちで、心は綱引き状態です。
ちょっと話はそれますが、仕事でもこの感覚は出てきますよね。
「この仕事には向いていないけど、今この仕事で自分に出来ることはなんだろうか?」と試行錯誤する感じですね。
1のステップでは良い子になって相手に合わせて頑張ろうとしますが、2、3のステップでは相手をコントロールしたい気持ちが強くなることもあります。
ネガティヴな気持ちと向き合う(抑うつ)
「もう、相手のことは好きじゃない」
今まではその気持ちを否定しようとアレコレしていたのですが、やっと自分の気持ちを真正面から見つめるようになります。
センチメンタルな気分になっていきます。
パートナーとの思い出を心の中で整理していきます。
相手と会わない時間が増えていく。
自分から連絡しようと思わなくなった。
という感じになりますし、もう実際に別れ話を切り出すかもしれません。
片思いならば諦めていく方向に舵を取っていきます。
次の恋愛にもこの時点ではかなり消極的です。
自信をなくしている状態ですね。
恋愛だけではなくて、仕事でも、テンションは上がりませんし、「私の人生は何なのだろうか?」と哲学的な悩みが出てきます。
エネルギーが自分の内側に籠もっていくので、ちょっと引きこもり的な感じになることもあります。エネルギー不足で決断することが出来なくなっている場合もあって
「彼(彼女)の方から別れを切り出してくれないかな。」
「はっきりとNOと言ってくれるともう楽になれるのに」
というように相手や第三者に依存的になるケースもあります。
すべてをありのまま受け入れる(受容)
その恋愛の終わりを受け入れて、前向きに捉えられるようになります。
自分の中のエネルギーが循環し始めるので、仕事もうまく回っていくという不思議な現象が起きていくこともあります。
アプリに登録したり、「いい人いない?」と積極的に交流の場所に出かけていけるようになります。
また、いきなり恋愛に精を出すというよりも、ダイエットや片付け、趣味などに新しく自分を整えていく方向にエネルギーを注ぐこともあります。
今まで内に籠もっていたエネルギーが外に向けて循環しているわけですね。
以上の5段階ステップを経て、自分の中にある気持ちを整理していきます。
まとめ 周りの人が本音に気が付いていることも
キューブラー・ロスの5段階のステップに合わせて説明したので、やや強引なところがあったかもしれません。
これは1、2、3、と順番に進んでいくのですが、2、3を行ったり来たりということもありますからね。だいたいのイメージとして、「こんなもんか、、、」と思っていただけると自分の気持ちを整理しやすいかなと思います。
「もう、本当は彼(彼女)のことは好きじゃない」
この気持ちに周りの方が先に気が付くことも割と多いです。
友人に「もう、〇〇君とは無理って一番自分が分かってるんじゃない?」 と言われて、その瞬間に自分の気持ちが冷めていることに気が付けるケースもよくあります。
気持ちが揺れ動くことは当たり前なので、どんな気持ちが出てきても、それをただ感じていくことが大切です。
すぐに答えを出そうとすルト、余計にどうしたらいいか分からなくなります。
「こんな流れで自分の気持ちは整理されていくのか」と分かっていれば、慌てなくてもよくなりますからね。
ただ時間が過ぎているように感じて焦るかもしれませんが、心の中はちゃんと整理しているんですよね。
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