食べていく能力と自分を活かす能力は少し違っていて、その狭間で悩むことがあります。
・好きなことをしたい、でもお金になるか分からない。
・お金になる仕事をしていてもつまらない。
これらはその狭間で揺れる気持ちを言葉にしたものかもしれません。
そりゃ食べていく能力がないとお金を稼げないので、ご飯を食べられないし、必要なものも買えません。
食わなきゃ生きていけない。
学校で習うことも、おじいちゃん、おばあちゃんから受け継がれてきたことも、
この「食べていく能力をどうやって身につけるのか?」に重点が置かれてきたように思います。
戦争を経験してきた世代の願いでもあり、その時代に作られたシステムの名残が強かったのでしょう。
集団や組織のためには個を押し殺すこともあったのだと思います。
食べていく能力を身につけていくことは大切なことです。
でも、その能力を優先させるあまり活かされてこなかった自分がいることも確かなことです。
このままでいいのかな私の人生?
これって本当にやりたいこと?
そんな疑問が頭によぎるのは、自分を活かすことが出来なかった過去が新しい人生の扉を叩くノックの音かもしれません。
食っていくための能力は組織や集団の中でバランスを取るチカラが必要になってきます。
自分の意見や気持ちを抑えて、周りと調整していくような作業です。
誰かの顔色を伺うことも必要だったかもしれません。
でも、自分を活かす能力はそれとは違います。
ただ我儘になるだけではありませんが、自分の気持ちに正直になっていく。
もちろん、自分を活かすために周りとバランスを取る必要もあるかもしれません。
ですが、あくまで主役は自分自身です。
顔も知らない誰かの顔色を伺って生きるのではなくて、自分を真ん中に置いていく。
物質的に豊かになってきた時代だからこそ
食べていく能力だけではなくて自分を活かすことについて真剣に向き合えるのかもしれません。
それは先代の人々が僕達に残してくれたものでもあります。
ある人は「そんなんじゃ食っていけないだろう」と言うかもしれません。
ある人は「私ができなかったことをやってくれてありがとう」と言うかもしれません。
ある人は「あなたにしか出来ないことをやってみたら」と言うかもしれません。
私たちが食べていく能力と自分を活かす能力の狭間で揺れているように
これまでの時代の生き方とこれからの時代の生き方の狭間でいろんな考え方があります。
やりたくない仕事に向かう時に
「こんなはずじゃなかっただろう」と頭のどこかで聞こえてくるかもしれません。
それを受け入れて、家族のために自分のために働いていくことも素敵なことです。
どの生き方にも背負うものがあるし、決断があります。
だからこそ、それらの声が聞こえてくるたびに真剣に悩んでいくのだと思います。
その真剣に悩んだ時間は人には分からないかもしれません。
自分の生きていく意味を再定義していく。
自分の人生を再決断していく。
それこそが自分を活かす能力に思うのです。
「やりたいことをしましょう!」
「好きなことをしましょう!」
僕もこのような言葉を使うことがあります。
でも、その言葉だけでは網目からこぼれ落ちてしまう大切な葛藤も、その時間も、見ることができる人でありたいと思ってます。
カウンセラーは答えを出すような仕事だと思われるかもしれません。
でも、答えを出せない時間も大切にしたいのです。
自分を活かすということは、自分の中に湧き上がってきた問いに向き合うことから始まるからです。
「このままでいいの?」
「何を選択すればいいの?」
そこから始まる長い長い問いと向き合っていくことです。
想いに任せてつらつらと書いていたら、まとまらなくなってしまいました。
でも、“それっぽいいいこと“を書いて終わらせたくないので、投げっぱなしで行こうと思います。
一緒に悩んでいきましょう。
人生はどうやら長いみたいで、まだ続きがあるようです。
ひとりで悩んでいたら、
毎日がこの世の終わりの頂点みたいな顔になることだってあります。
答えが欲しくて焦っていた時期を振り返って
僕が欲しかったのは
「一緒に考えていこう」と言ってくれること
答えの出ない時間に側にいてくれること
だったかもしれないと思うことがあります。
時代の流れが早いと、情報がものすごいスピードで溢れていると、
結果や答えを出すことばかりに気を取られて自分を見失ってしまいます。
見失った自分で出した答えは、本当のあなたの答えではないかもしれません。
それに気がつくまで、長い時間がかかることだってあります。
心のどこかでふと湧き上がってきた問いに向き合い続けること。
それは見失った自分を見つけていく大切な時間だと思うのです。
すぐに答えを出さなくたっていい。
どっかで同じように悩んでる人がいる。
悩んでくれる人がいる。
学生時代に自分だけが聞いていると思っていたお気に入りの曲。
大人になって同じ曲を好きな人に出会って不思議な喜びに興奮する瞬間みたいに。
ヘッドフォンで自分だけが聞いていた音を時間を超えて共有してくれる人がいる。
そう、ひとりだけど、ひとりじゃない。
そこは行き止まりじゃない。
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