セックスレスは、「愛しているならできるでしょう」と原因の核を「愛しているか、どうか?」に持っていきたくなりますが、そこに焦点を当てても解決しないことがあります。
「愛しているけど、触れて欲しくない。」
または、「愛しているから、触れられたくない」
セックスレスには、このような感覚もあるんですよね。
目次
セックスレスの原因は愛情の有無だけではない
愛してる相手だから触れたいし、触れられたい。
セックスだけに関わらずボディタッチにおいてもその気持ちは当たり前のものです。
愛しているから体を求めるのに、それを拒絶されてしまうわけですから、「私は(俺は)愛しているのに、あなたは愛してくれない」と思ってしまいます。
そこから「本当に愛しているの?愛しているのならできるでしょ?」と話し合いが発展していきます。
体に触れられない寂しさ、男として(女として)見られてないかもしれない不安から、話がエスカレートしていき、セックスを断られる方も、セックスを断る方も、お互いが我慢を抱えてしまいます。
セックスの話がタブーになり、それに触れようとするとお互いが傷付く結果になります。それに近いワードやちょっとしたボディタッチでも敏感になってしまうケースもあります。
セックスレスを愛情の有無の問題として対処しようとすると、このように愛するがゆえにする行為がお互いを傷付け合う話題になってしまいます。
拒絶する側の心の中は!?
拒絶された側は、その理由を相手に求めて欲しくなると思います。でも、拒絶する側がその理由をちゃんと把握していないこともあります。
「今までは大丈夫だったのに、急に何か自分の中で違う感覚が出てきた」
「セックスしたい気持ちがあるのに、その瞬間になると体も心もブレーキがかかる」
「愛しているのに、触れられることに過敏に反応してしまう」
と、自分でも心や体の変化に戸惑って、状況を理解できてないことがあります。
拒絶される側もパニックで不安かもしれません。それと同じように拒絶する側もパニックになっていることがあるのです。
そのパニック状態で、相手に理由を詰め寄っても、相手も分からないわけです。分からないことを詰め寄られると、ますますパニックなるし、聞いてくる相手から(その話題から)逃げたくなる心理も働きますからね。
学校で分からない問題を答えを出すまで先生に質問され続けられる気分みたいなものです。
パニックで冷静じゃないからどんどん、心理的に追い詰められていきます。
セックスに対するアレルギーが大きくなる理由
ここが一つのポイントで、拒絶される側も、拒絶する側も実は理由が分からなくてお互いにパニック状態と言えるのです。
そのパニック状態で感情論的に「愛しているの?」「なんでセックスできないの」と寂しさや不安を交えて話してしまうと、余計にパニックが大きくなります。
コミュニケーションは大切なことですが、そのコミュニケーションを重ねれば重ねるほど、セックスに大してアレルギーが強くなってしまうことがあります。
セックスを拒絶する側は、その理由が分からないことがあるし、断ることに罪悪感を感じてしまいます。自分が責められている気持ちになっていきます。
セックスレスに拒絶する側が加害者意識を持ってしまうのです。
愛してるのに、なぜかセックスが出来ない。そして、そのことが理由で愛してるパートナーが傷付いている。
その状態がパニックに加えて、罪悪感も大きくしていきます。
拒絶する側も、相手を悲しませたくないし、なんとかしてあげたいのに、心の余裕がどんどん無くなってしまいます。
レスの原因は心だけの問題ではない
セックスレスにもいろんな原因があります。
もちろん愛情が冷めてしまったことでレスになるケースもありますし、愛情があってもレスになることがあります。
精神的な理由でレスになることもありますし、それが今のパートナーシップと関係ないことの場合もあります。性的なトラウマもあれば、両親の関係がレスに影響していることもあります。
体の変化や環境の変化もあります。
セックスは肉体的なコミュニケーションですからね。ハードワークや子育てで肉体的に疲労してる状態や心配事で頭が常に緊張している状態では、気持ちがなかなかセックスに向かわないことがあります。
年齢による体力変化やホルモンバランス、出産、食生活なども影響していきます。
どれか一つが原因であるわけではなくて、いくつかの理由が少しずつ重なっていることがあります。
原因を掘り下げて、それを対処することもレス解決の大切なアプローチですが、複数の状況が重なっていることもあるので、理由を追及することに必死になりすぎないことも大切です。
「時間」「心のゆとり」「心地よい空気感」もレス改善のお薬になるからです。
セックスレスの心理的な理由について
レスにも様々な状況や理由があるわけですが、心理的な理由についていくつか触れていきますね。
拒絶する側も、拒絶される側もそれを知ることで「愛情の有無ではない」とお互いを責めることなく理解することが出来れば、余計にアレルギーを強くすることはありませんからね。
「苦手だ」と言えなかった
心理的な理由を深く掘り下げていく前に、コミュニケーションのズレとしてよくあるケースについて。
元々セックスに対して苦手意識が強くある人がいます。その理由は心理的な理由や環境が影響していることもあるのですが、愛してるパートナーゆえに「苦手だ」と言えないことがあります。
付き合ってから、ずっと「セックスが苦手」と言えずに我慢していることがあります。愛しているから相手を満たしてあげたいし、苦手と言ってしまえば嫌われるような、傷付けてしまうような気持ちにもなりますからね。
セックスはしているけど、苦手意識と愛情の間で常に綱引き状態なわけです。
「彼のことは好きだけど早く終わって欲しい」
そんな気持ちになることもあります。セックスレスとお互いの問題として浮上してないけど、ひとりで葛藤を抱えている状態です。
綱引き状態は緊張状態とも言えるので、我慢してセックスを続けているけど、心の負荷が溜まっていき、限界を迎えてしまうことがあります。
コンプレックスが刺激される
セックスは肉体的にデリケートな部分に触れ合う行為です。心のデリケートな部分を刺激されることがあります。
自己嫌悪や自信のなさなど、「女性として〜」「男性として〜」といった気持ちの面と密接な繋がりがある場合があります。
大きいとか、小さいとか、速いとか、遅いとか。
そのセックスでのコンプレックスが、人としてのコンプレックスを刺激してしまうわけです。
「仕事もうまく行ってない」「他の人はもっとちゃんとしている」など。
セックスはお互いを愛し合うことでコンプレックスを癒していく行為でもあります。それには肉体的なコミュニケーションだけではなくて、感情のコミュニケーションもして、体だけではなくて、心も受け止めていく必要があります。
裸になるのは肉体だけではなくて、心も裸になっていきますからね。
どうしても心を閉じてしまうこともあるかもしれません。
「なぜ相手を信頼できないのか?」「心もゆだねたら何が不安なのか?」
カウンセリングではそこを掘り下げていくことがあります。
過去のトラウマ
過去の恋愛での体験や幼少期の体験など、現在と関係ない原因でセックスレスになることもあります。
人によってはパートナーだから過去の話をしたくない人もいます。(セックスレスの理由を相手に追及しすぎない方がいいのは、このような理由もあります)
大きな出来事で深く心を傷付けてしまうこともありますし、小さな痛みを積み重ねていくこともあります。
自分では平気と思っていることが実は深く影響していることもあります。
小さい頃の親戚のおじさんの目線や発言、思春期の時に見たアダルト製品の影響、両親のパートナーシップの不和など。
自分でも癖と思っているし、周りの人に話しても「たいしたことない」と思われるかもしれない。でも、影響していることもあります。
大きな出来事が影響している場合は、その痛みを癒していくアプローチが必要ですし、小さな出来事が影響している場合は、そこで出来た思い込みを手放してくアプローチが必要です。
元カレに乱暴に扱われた。行為中に心無い言葉をかけられた。など。セックスに大きな痛みが伴っていることもありますし、痴漢など性的被害が原因の場合もあります。
また、例えば親戚のおじさんの視線を敏感にキャッチしてしまったとしますね。すると、大人の自分として見られることに罪悪感や嫌悪感が出てしまうケースがあります。
セックスは大人としての自分を見られて愛し合う行為ですからね。そこにブレーキがかかってしまうのです。
拒絶された時に
拒絶される方はショックを感じてしまいます。それはどうしても避けられないことかもしれません。
今まではOKだったのに、当然NGになるわけですからね。それを受け止めるのも時間はかかると思います。頭ではセックスレスの原因は色々とあることは分かっているけど、心では受け止めきれないこともありますからね。
拒絶された不安や焦りを相手にぶつけることは、いい方法ではありません。しかし、その気持ちを我慢しても、いつしか爆発してしまいます。
その気持ちの受け皿としてカウンセリングを利用されてください。
過去の失恋の痛みが顔を出すことも
また、現在のショックで過去の痛みが刺激されることがあります。
セックスを拒絶されたことで、過去にも拒絶された経験や愛を失った出来事が思い出されることがあります。
過去の失恋の痛みやいじめで仲間外れにされた痛みが疼くこともあります。(それを過去の痛みとして認識できることもあれば、現在のセックスレスの痛みと重なって気付かないことがあります)
拒絶されること=失恋、離婚。拒絶されること=孤独、孤立。と心が反応してしまいます。だから焦ってセックスレスを解決したくなるし、その理由は明確に知りたくなってしまいます。
現在のセックスレスの問題のアプローチすることも大切ですが、過去の傷を癒していくことで、刺激されて痛みが大きくならないようにすることも大切です。
相手の過去も、自分の過去も癒すきっかけに
セックスを拒絶する側にも過去が影響していることがあります。
セックスレスの問題は、過去を癒すきっかけになるわけですが、拒絶された側も自身の過去の痛みを癒すきっかけになります。
それぞれの過去を振りかって過去の痛みやそれまでのパターンを手放していくこと。そして、それをコミュニケーションしていくことで、セックスの問題だけではなくて、夫婦として、パートナーとして、より強く深く繋がりを取り戻すことがたくさんあります。
セックスレスは問題かもしれませんが、関係を良好にするきっかけにもなってくれます。
まずは心にゆとりを
セックスレスの問題はお互いの心のゆとりを削ってしまいます。
拒絶する方も、拒絶される方も、どうしたらいいか分かりませんからね。
コミュニケーションすることは大切です。ポイントはコミュニケーションの仕方であり、その空気感なんですよね。
過去のトラウマが原因の場合は、殺伐として緊張状態では話せまんよね。安心感を感じられてないと、話すことが怖くなりますからね。
まずは心のゆとりを作っていきましょう。
1、情報を仕入れて安心材料に
セックスレスの原因が愛情に有無になってしまうと、それだけで疲弊してしまいます。レスにもいろんな理由があって、現在の関係が影響していないこと、お互いが悪いわけではないことなど客観的な情報を仕入れることで安心できることもあると思います。
2、ひとりで整理する時間も大切に
また、お互いで話し合う前に、それぞれ自分で心の整理していく時間も大切です。自分で過去を振り返ったり、ネガティヴな気持ちに振り回されないように気持ちを書き出したりすることも必要かもしれませんよね。
3、助けてもらう場所も作っておく
セックスレスの問題は、それ自体が話しにくい話題であったり、自分の過去と関係していたりと、助けと求めにくケースがあります。
パートナーに伝える前に自分の気持ちを一回受け止めてもらうことで、柔らかく安心してパートナーに伝えられるようになることもあります。
また、不安に押しつぶされそうになる気持ちを第三者に吐き出すことで、心の避難場所として機能することもあります。
自分では気付いていない理由を見つけることもできますからね。
過去を癒すこと、心の避難場所を作ること、気持ちを伝える練習をすること。
自分だけで(自分たちだけで)セックスレスに立ち向かわなくもいいですからね。
どんな形であっても助けてもらう場所を作ってみてください。
焦らなくて大丈夫
セックスレスは焦って解決したくなるかもしれません。
どうしても自己価値の問題や無価値感など強く感じてしまいますからね。
でも、カウンセリングではゆっくりと時間をかけていきます。過去のトラウマを癒すイメージワークを何度も繰り返します。また、夫婦や恋人とのコミュニケーションについても小さな課題を出すこともあります。
急いで表面的に解決したとしても、それはどちらかが我慢しているだけの場合があるからなんです。セックスレスが解決したと思っても、実は問題を先送りしているかもしれないのです。
今まで抱えていた気持ちを吐き出したり、パートナーにも言えなかった気持ちを整理したり、パートナーを大切に思うからこそ十分に時間をとってもいいかなと思います。
焦らなくていいし、ひとりで解決しようと思わなくていいですからね。
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