「愛されるのが怖い」
「受け入れてもらうのが怖い」
この感覚は分かるような、分からないような。心のどこかにポツンとその気持ちがあるけれども、それを口に出そうとすれば言葉が出て来ない。
家族がいても、パートナーがいても、友達がいても、その感覚があって。だからこそ、余計に口に出すことが悪いような気がして。
愛されたいのに愛されるが怖いし、理解されたいのに理解されるのが怖い。
そんなあべこべな気持ち。
「親密感への恐れ」とも言えますし、「幸せになることへの抵抗」かもしれません。
目次
かつての自分の話
僕にも愛されるのが怖い感覚がありました。
今でも少しはあるでしょうけどね。昔はもっとありました。当時は自覚できない分、「その親密感の恐れ」に振り回されていたように思います。
今は自覚できますからね。「あれ?受け入れてもらうことに遠慮してない?」「愛を受け取る番だよ!」と親密感の恐れが発動していることに気が付いて、その恐れに振り回されることはなくなりました。
で、当時の話ですが、心理学を勉強し始めて何年も経った頃でした。
仲良しの友達グループでも、趣味のサークルでも、最初の方は愛想を振りまいて自分も楽しく過ごすことができるのですが、ある一定のラインを超えて親しくなってくると、途端にそのグループから心理的にも物理的にも距離をとってしまうのです。
「あ〜あのグループの集まりに顔を出すのがめんどくさくなってきたな」
と理由も分からない気怠さとして感じてました。
「誰かといるのは疲れるしめんどくさい。ひとりでいるのが気楽で一番いいや!」と。
それが親密感の恐れを気付いていったのは、しばらく後になってからでした。
親密感の恐れの大切な補足
もちろん、ひとりで行動するのが好きな人もいますからね。それ自体すべてが親密感への恐れなワケではありません。
僕自身もひとりで行動したい時もあれば、みんなでワイワイしたい時もありますからね。ひとりで行動したい時に「親密感の恐れ」が発動しているわけではありません。
ここ少しポイントなのですが、心理学を学び始めて「親密感の恐れ」を知って、「ひとりで行動するのは癒されてないからだ!」を思う人がいます。
疲れているのに飲み会に断れなくなったり、無理してすべての誘いのOKを出したりする必要はありませんからね。
なぜ親密感の恐れは分かりにくい?
親密感の恐れが分かりにくいのは、頭と心が矛盾しているからです。
基本的には人間は矛盾していることを嫌いますからね。葛藤状態というか、矛盾した想いに綱引きされている状態は、ストレスが溜まっていきます。負荷が大きいんですよね。
「自分を完璧に受け入れてくれる人がいたら」「自分を完全に理解してくれる人がいたら」
そんな想いが心の底に隠れているのに、なぜが人を遠ざけてしまうのです。
遠ざけている意識もないかもしれませんけどね。
頭では「人と関わりすぎると自由がなくなる」「我慢しなければいけない」とネガティヴなことを考えてます。
その考えを確固たるものにするために、相手の嫌なことを見たり、嫌な過去を思い出したりして証拠を集めていきます。
自分の中にある「親密感の恐れ」が原因ではなくて、周りが悪い奴(面倒臭い奴)だからと思っていきます。
これが「親密感の恐れ」に気が付きにくい理由です。
自分を隠して、恐れが強化されていく
周りを信頼していないわけですからね。
自分の気持ちや考えも表現しなくなります。すると、相手から「よく分からない人」「何を考えているか分からない人」と思われるようになります。
心の底では自分を理解してほしいのに、まったく反対の結果を引き寄せてしまいますからね。「やっぱり私を分かってくれる人はいない」と落ち込んで、さらに自分の気持ちは引きこもっていきます。
自分を隠してしまいますからね。頼れないし、甘えることができないし、どんどん自立していきます。周りに人がいるけど、孤立しているのように感じていきます。
この孤立状態では、過去の傷や痛みが疼いていきます。
「あの時も私はひとりだった」「あの時も誰にも分かってもらえなかった」と。
親密感の恐れが強化されてしまいます。
親密感の恐れを手放すために①
さてさて、ややこしい「親密感の恐れ」ですが、それを手放していくためは、まずは自覚することです。
「親密感の恐れ」があると人間関係や恋愛が同じパターンを繰り返していきます。
・せっかく友達になれたのにいつも喧嘩して疎遠になっていく。
・恋愛で相手が尽くしてくれるようになると気持ちが冷める
・母とやっていたように、夫と口論になってしまう。
望んているわけではないけど、お決まりのパターンを繰り返していきます。そこに「親密感の恐れ」が影響している可能性があります。
「もし、親密感の恐れが影響しているなら、私はなんで愛されるのが怖いんだろう_」と振り返っていきましょう。
その振り返りで答えが出なくても大丈夫です。でも、振り返ることで自分のパターンを冷静に分析できるようになります。
「親密感の恐れ」が発動した時に気が付けるようになります。
親密感の恐れを手放すために②
愛されるのが怖いって感覚は、分かるようでも説明することが難しいですよね。
簡単に説明すると、痛みや傷がまだ残っているからです。
瘡蓋になっていない傷を触られるような感じですかね。治療して欲しいけど、触られるとズキズキと痛むような。触られそうになると、傷口を引っ込めてしまいます。
「親密感の恐れ」の根本には癒されていない傷や痛みが残っているわけです。
自分でも触れたくないので、忘れている振りをしているかもしれません。
だけど、親密感の恐れが発動するのは、その痛みを癒して欲しいSOSのサインでもあるわけです。
どんな痛みを抱えて、なぜ、今まで我慢してきたのでしょうか?
「助けてもらなかった。」「迷惑にならないように我慢した。」いろんな理由があるかもしれません。
ひとりでやらなくても大丈夫
癒されないと思っていた痛みや傷と向き合っていく。
それは簡単なことではありません。人を信じられなくなって、自分を信じられなくなって、ずっと蓋をしてきたことに向き合うことですからね。
だから、ひとりでやらなくて大丈夫です。
親密感の恐れがあると、自立していきますからね。頼れなくなるし、助けと求めることもできなくなります。
誰かに頼ること、助けを求めること、そのチャレンジに一歩踏み出した時が、自分のパターンを変えられる瞬間でもあります。
身近な人に頼れないなら、ぜひカウンセリングに頼ってみてください。
安全な場所で過去の痛みを手放していきながら、頼る練習をしていきましょう。
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