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ずっと待っていたのは、優しく見守ってくれること

人は本当は怖いのに怒ってしまうし、本当は怒っているのに怖がることがある。

自分の本当の気持ちとは、裏腹の態度をとってしまう。

心とあべこべな言葉で、いくら頭で考えても、いくら相手に伝えても、心は楽にならない。

「不安で不安で仕方ないんです」と話していた人が、「私は本当はずっと怒ってたんですね」と気付くまで何年も時間がかかることがある。

会社の同僚、友達、家族に対してずっと怒っていた人が、「私は本当は怖かったんです」と口に出せるまで、何度も何度もカウンセリングに通われることがある。

いつから本当の気持ちを言葉にできなくなったんだろう。

いつからそのことに自分でも気付かなくなったんだろう。

「私は本当はずっと怒ってたんですね「私は本当は怖かったんです」とやっと口に出せるようになった時に、一緒に流れる涙は何を教えてくれるのだろう。

自分の心と繋がるのが怖い。

今まで蓋をしてきた感情と向き合うのが怖いから。

ゆっくりでいいから、時間をかけていこう。

それが自分にできる一つの愛だから。

早く答えなんか出さなくていいし、癒されることに焦る必要もない。

ずっと自分の為に時間をかけて見守ってくれる人を待っていたのかもしれない。

うまく生きられないのは、不器用だからじゃない。

きっと傷付いた痛みが、心のずっと奥の方に隠れたままだから。

前を向いても、顔を見上げても、凹むことがあるし、落ち込み悔しくなることもある。

そんな自分をもう責めなくていい。

一生懸命に傷を抱えた自分がそこにいるだけだから。

見えなくなった本当の気持ちが出てくるまで、見守ってあげよう。

真っ暗の部屋で、一つの蝋燭に火をつけてみる。

小さな光が揺れながら優しくぼんやりと部屋を照らしていく。

そこにまだ何があるか分からない。

でも、その揺れる蝋燭の火が安心感をもたらしてくれる。

部屋のすべてが見えるようになったわけじゃないけど。

真っ暗な闇から抜け出して、そこに確かに自分がいることに安心する。

私たちは何かを見つめることで、自分の存在を確かめる。

自分を見守ることは、そうやって時間をかけて自分の存在を一つ一つ確かめることかもしれない。

傷や痛み、寂しさや怒りで真っ暗に見えなくなった心に、小さな灯を灯していく。

生きている実感はお金や成功だけじゃない。

優しく自分の心を見つめていく時間の中に、自分の生きている意味を見出していく。

どんな傷付いて、苦しくても、生きてきたのは、心の奥底に隠した本当の自分に出逢いたかったから。

ゆっくりと迎えに行こう。

遅すぎることは何もない。

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