誰かを許すことは難しい。
許そうと思えば思うほど、「なんで私が、、、?」「また痛い目に遭うよ」と心の中で反対の声が大きくなる。
いっそのことを許さないままの方が気が楽かもしれないのに、許さない状態も、それはそれで心の容量に負荷をかけている。
気分よく過ごしている時は忘れていることでも、ふとした瞬間に相手への怒りを思い出す。傷付けられた言葉が頭の中でリフレイする。
心がギュッーっと締め付けれる。肺の中が不安に満たされて、呼吸が浅くなることもある。
許せないことで心が不安定もなるし、許そうとすることで締め付けられる痛みがある。
「許す」とか、「許さない」とか、そんなことを考えない状態になりたい。
「許したいけど、許せない。」「許せないけど、許したい」
私たちがそうやって傷を抱えながら葛藤する相手は、本当は愛したい人でもあるからだ。
「お母さんにもっと褒められたかった」
「お父さんによくやったなと言われたかった」
「あの友達と仲良くいたかった」
「彼とはこんな言葉で最後にしたくなかった。」
愛したかった自分と、傷付いた自分の間で、心は揺れ動く。
心はどちらかに傾けようとしても苦しくなる。
だから必死に許そうとしても、「だって、、、」と許せない気持ちが出てくるし、絶対に許さないと思っていても「もしかしたら、、、違う関係性があったかも」と心残りが出てくる。
愛したいのに、許せない日々を抱えて生きていく。
その矛盾した心をまずは受け入れていく。
どちらかに無理に寄せない。
そのままを受け入れていく。
あるとき、心がふと楽になっているのを感じる。
ボールの形をした入浴剤が、湯船の中で少しずつ溶けていき、最後の欠片がそっと溶けていくように、自然と心が楽になっていく。
気付いたら、また小さな怒りが塊が出てくる。
でも、それも受け入れていくと、また自然と消えていく。
そうやって最後の欠片が何度も溶けていきながら、「許す」とか、「許さない」とか、それを考えない日々がやってくる。
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